3月27日(木)ごろから29日(日)まで,東京を中心とした大都市圏でコロナ発症者が多く確認され,おそらく感染症対策が可能な病床数を大きく上回っています.私は医療関係者ではありませんが,このようにコロナ感染者が増えるような状況は,医療機関のひっ迫化に拍車をかけるものであるというのは容易に想像がつくと思います.
さて,私たちフォト・ビデオグラファーはこのような状況下でどう社会的な責任を果たした行動にになるのか.
私も断腸な思いではありますが,可能な限り外出を控え,自宅で作業,MTGを行うべきであると考えています.学生ながらテレワーク,自宅でのメイン作業を行っています.
日常的な生活の中でテレビや新聞,ネットニュースなどに触れられているみなさんはもう聞き飽きた情報だと思います.ただ,どうしてわざわざこのように申し上げるのか.それは状況が深刻であると同時に,仮に自分が感染した時に,「病的リスク」以上に「社会的リスク」が高まっていることをお伝えしたく,本記事を書きました.
「広島の」学生の感染事例とネットの反応
3/29(日)夕方ごろ,Twitterのタイムラインでコロナ感染のニュースが流れました.
広島県にお住いの方であれば,「広島の学生,コロナ感染」というニュースをご覧になった方がいらっしゃるかと思います.遅かれ早かれ大学生,小中高生も広島で感染される方が出てくること自体は容易に予想がついたと思います.
まず,感染された学生の方には一刻も早い体調の回復をお祈りします. 若者であっても,時と場合によって肺炎症状が悪化してしまう可能性があります.私たちも十分に気を付けましょう.
このニュースには感染者を非難するコメントが散見されました.
私自身,誹謗中傷自体はネットリテラシーを持つものとして行ってはならないと思います.ただ,「コロナ」という言葉に社会が敏感になっている状況下で,だれでもコロナに感染しうるにも関わらず,一度感染してしまうと会社や大学が会見するまでにことが大きくなっています.会見やマスコミの取材を通じて,感染者の行動履歴や訪問場所,会った人,同じ空間にいた人など,まるで犯人捜しのように非常にプライベートな情報までもが社会にさらされてしまいます.
これが私が申し上げた社会的リスクです.いままで私も含めてコロナ感染者にまつわる情報は,どこか遠い人のこと,まぁ自分はないでしょという感覚だったと思いますが,差し迫って自分が当事者になってしまうリスクが高まっています.
的を射た発言をされる方の中に,コロナで死ぬより経済で死ぬ(自殺してしまう)方が多いだろうと考える方がいらっしゃいます.私はさらに加えて,「情報でもみくちゃにされる」も付け加えたいと思います.
情報は,巻き込んで,誤解されて拡散されていく
このニュースの反応を見て私がさらに驚いたのは「県立広島大」と「(国立)広島大学」を誤読して,誹謗中傷がなされている方が多数いらっしゃったということです.
さらに今回は所属名称が混同しやすい名前でありました.県立広島大学と国立広島大学を混同されている方によるツイートで,「頭いいのにこんなことするなんて馬鹿だな」(表現はまるくしています)などのような発言もありました.
何も県広と広大のどっちが頭がいいかという話ではなく,情報がどんどん拡散され,さらに誤って,不確かに理解されてさらに拡散されます.これは,とくに災害時にはよく広まるフェイクニュースやデマと化して広まっていました.感染した学生からすれば,ただでさえ周りに迷惑をかけているだけでなく,ネット上でさらに全く関係のない方・団体を巻き込んでしまう始末になっています.
おそらく米国など訴訟大国であれば名誉棄損で訴えられてもおかしくないことです.日本ではそこまでないと思いますが,それだけの社会的リスクを背負っていることを改めて言及しておきたったです.
自分は我慢しているのに!がストレス爆発につながる

このようにTwitterのコメントには非常に否定的な内容が続いていました.たしかに感染に多少の自覚症状がある中で卒業式に出席したなど,社会人として不適切な行動をしてしまったことは咎められてしまっても仕方ないのかなと思いました.
ただ,ここで私たちが考えておくべきなのは,この誰もが感染しうる状況の中で,不幸ながら誰もが誹謗中傷の対象になってしまう可能性があるということです.さらに誤読や誤った理解によってミスリードな情報までもが拡散されてしまうことです.
政府や自治体の自粛要請のもとで,多くの方はご旅行や帰省,週末の楽しみを我慢されています.人は我慢をすれば当然ストレスを感じ,また要請に応えずにいつも通りの生活を楽しんでいる人を見ると妬み感情を覚えてしまいます.
そのような中で,本ニュースのように,「楽しいことをして後でヘマをする,周りに迷惑をかけた」というストーリーが当てる事象が起きると,相手を攻撃したい人が出てきてしまいます.
さらに拡散の過程で誤った解釈により,別の個人,団体を巻き込みながら拡散されてしまいます.
一方で,3月23日(月)の週では,広島では,正直,まだ大丈夫だろうみたいな雰囲気があったと感じました.縮小開催ながら広島県内の複数の大学で卒業式は行われ,4月からの授業も今のところは通常通りの開催と弊大学も現在のところは発表しています.感染された学生を責める前に,こうした雰囲気があったことも忘れてはいけません.
ネット上では犯人捜しのようなあら捜し,誹謗中傷が行われました.それもたった一人の,少しの判断ミスでここまで広がってしまうことに,心が痛みました.おそらく年齢的に自分と同じ学生です.卒業できたことに人から祝われたい,祝いたい気持ちも非常によくわかります.さらに,政府による「自粛要請」も要請であって命令はないわけで,人によって解釈が分かれてしまうのは仕方のない状況でありました.
フォトグラファー・ビデオグラファーにできること

話はだいぶそれましたが,大事なことだったので丁寧に記述しました.このニュースを聞いたうえで,写真や映像を撮る者として,やはり可能限り,自宅で過ごすということをお伝えしたいです.何もずっと引きこもるのではなく,散歩がてら近くの川端で桜の写真を撮ることくらいはあっていいと思います.ただ,ちょうど桜の名所でも桜が開花される時期になり,これまで我慢していた気持ちによっていつも以上に行ってみたいという感情が高ぶると思います.
ただ,どうか,一歩立ち止まって考えていただきたいです.
今回の広島の感染者ニュースで,一般人にしてはあまりにも大きすぎる社会的リスクを持って私たちは「移動」して,「接触」しているということです.
撮影した写真や映像はおそらくインスタグラムやフリッカーなどのような形で素材から位置情報,撮影時間などが明らかになるでしょう.これらにより,その時は大丈夫でも後々になって何かが起きたときのネット上の動かぬ証拠になりかねません.確かに撮影によって収入を得ている方にとってはあまりにも酷な言葉であることはわかっています.私自身もそうです.だからこそ,政府には何とかしてもらいたいものですが,その前に自分の将来を台無しにしてしまうリスクがあることを認識していただきたいです.
一刻も早く,ことが終息することを願ってやみませんが,写真や映像に携わる若い方にも共通の認識をしていただけることを願っています.