マスクの次はテイクアウトだ!

2020年4月27日(月)11:00,「東広島テイクアウトマップ」アプリケーションをリリースさせていただきます.コロナ禍で不況に陥っている飲食店をなんとか手助けさせていただきたい,そんな思いで始まったアプリ開発の発表日を迎えました.

こちらのリンクからパソコン,スマートフォンでアプリを使用することができます.

コロナの前に経済で人が死ぬ

コロナ自体に感染して生命を落とすよりも経済不況によって人が死ぬかもしれない

このような言葉は,コロナが発生した初期から言われてきましたが,ついに現実になりそうな状況だ.多くの観光業,飲食業をはじめとした多くの産業にとって,2月から3月の春休み,年度末需要がなくなっただけでもかなりの打撃であると推察される.さらに追い打ちをかけるように,政府より5月の大型連休(ゴールデンウイーク)の人の移動自粛要請が発表され,営業要請も出されている.

マスクの販売においてもカフェでの対面販売を止めざるを得ない状況になったが,現在は郵送販売に切り替えて通常通りの対応をしている.しかしながら,1度止まった客足を動かすのは至難の業だ.ただでさえ,若者の飲食需要は減っているというにも関わらず,さらにこのコロナ不況においては,飲食店が閉め出すという事態にもなっていると聞く.

東広島の主要産業の一つである飲食店

東広島には地区ごとに事情は違っても飲食店は多い.西条駅前は居酒屋や坂倉通りに関連した酒屋など,ブールバールや国道375号線沿いのロードサイドショップ,下見のような住宅街に入り組んで展開されているお好み焼きやラーメン屋などがある.

これらには当然広大生はじめ多くの大学生,若者の仕事先でもある.こうした店で現在売り上げ減少によるアルバイト雇用の縮小,若者の家計悪化が深刻さを増している.

テイクアウトって聞くけど,どのお店がやっているかわからない

長引く営業自粛の中で,テイクアウトやデリバリーなどの産業形態に人気が集まっている.お客さんが長時間店舗に滞在しない形であれば,営業可能とわかってから,テイクアウトをする店舗が増えていると聞く.

都会であればUber Eatsなどで一目瞭然だが,地方都市にはまだUberが進出している地域も多い.また地方であれば車持ちのご家庭,個人もいるということで,テイクアウトをやっている企業をマップで分かるようにすることは喫緊の課題だった.

SNSでアカウントを見つけられない問題

実際,筆者も空腹を感じてから,お店を調べ始めた経験があったが,Twitterアカウントを探すので精一杯.例えば広大生なら一度は行ったことがある「お好み焼き屋 中村屋」は「中村屋」とも「お好み焼き 中村屋」とも調べても全然アカウントにたどり着かない.それも全国の「中村屋」さんのアカウントが出てくるため,一体広島の「中村屋」さんがどれなのかわからなかった.結局探すこと自体もあきらめてしまい,コンビニでご飯を食べる始末になってしまった(コンビニのご飯もおいしいけど,毎日はね).

テイクアウトのまとめサイトはあった

調べてみると東広島地域には2つの飲食テイクアウトサービス一覧のサイトがある.「ひとむすび」さんの「東広島まるひネット」と「プレスネット」さんの「ジモ通」である.両社とも更新頻度も高く,常に最新の情報に切り替わっている.

こちらには現在の東広島のテイクアウト飲食店が一覧でわかるだが,いかんせん地域別にまとまっておらず,「西条下見地域のお店はどれだ?」と思いながらスクロールしていくことになる.地元に長く住んでいて土地勘のある方であれば多少地名を聞いて「あぁ,あの辺にある店だな」とわかると思うだが,私たちのような東広島歴の短い学生(院生であっても)であれば下見エリアが限界でしょう.

マスク販売をしながらでも飲食店の売り上げが著しく低くて困っているという話はよく聞いていたので,今回,テイクアウト文化を広めるための施策として「東広島テイクアウトマップ」を開発した.

東広島でテイクアウトしようよ!のアプリ

東広島テイクアウトマップはその名の通り,テイクアウトをしている飲食店を地図に掲載しているアプリです.基本機能はほとんどそれだけですが,現在東広島市内で50件を掲載している.

このアプリの特徴はなんといってもこのマップによる見える化.テイクアウトをしているお店さんがどこに何があるかを直感的に見ることができるのが魅力だ.

ほかにもマップアプリ自体は存在しているが,本アプリの最大の特徴とも言っていいのは,現在東広島ミライノが中心となって進めているテイクアウトキャンペーン,「#東広島エール飯」との連動だ.画面下部の「#東広島エール飯」をタップすると本キャンペーンについての紹介とタグ付け可能なツイート投稿画面に遷移するような仕掛けになっている.

「#東広島エール飯」とは,現在広島県を中心に各市町村で進められているテイクアウトキャンペーンの一環である.特に割引などがあるわけではないのだが,当初のどのお店がテイクアウトをやっているのかがわわからないことを受けて,お店,お客双方が料理の写真と共にタグ付けをして,市民同士テイクアウト情報を共有するために始まったものだ.

しかしながら,店名とテイクアウトが結びついても,店名に場所のイメージがなければ実際の購買にはつながらない.そこで本アプリのマップによる見える化とキャンペーンの連動を行うことで,より市民へのテイクアウト文化を促す取り組みの一歩となる.

これまでお店情報がわからなかったことで,テイクアウトをためらっていた顧客にも気軽に楽しめるようなツールとして本アプリを使ってみてはいかがだろうか.

5月のおうち連休に食の楽しみを

マスク対策でも何度か触れているが,5月の連休は食料品や必需品の購入だけでも出かける機会自体は増えるものとみている.政府が5月の大型連休まで緊急事態宣言を適用しているのも,連休中の大きな人の移動を生まないようにするための対策でもある.ここで多くの市民に移動をされてしまうとこれまでのコロナ対策が無に帰す可能性があるからだ.

しかしながら,ただ一方的に自粛と自宅待機を促すだけではさすがに市民にもストレスを与えるだけになってしまう.自炊が得意な方でも連休となれば少しは外食してみたいという気持ちも湧くのは自然なことである.

そんなときに散歩や軽いドライブのついでにテイクアウトでご飯を買って,おうちごはんをする利用場面も想定している.地図上で自宅または現在地から近くのどこでテイクアウトが可能かというのが一発でわかるようになる.

アプリ制作者・てばさき氏との共同開発

今回のアプリはすでに広大生ブロガーとしてはかなりの知名度を持っている「てばさき」氏と共同で開発した.てばさき氏は実際にグライドを用いたアプリデザインやデータ面を担当,筆者はUIUX,動線,今回のミライノさんとコラボをはじめ東広島の関係各社との連携面を担当した.とはいえ,毎晩遅くまでアプリのデザインや体験,発信の戦略はかなり綿密に議論した.オンラインメイン,ときどきオフラインで進捗や連携を進めてきた.

東広島の地図を描いて,飲食店の多さ,偏り,区分けなどを細かく話していた時の図

てばさき氏はすでにグライドでのアプリ開発経験があったというのもあるが,非常に素晴らしい姿勢で開発にいそしんでいた.こうした災害対応はスピード感を持って対応する必要があり,臨機応変さは必要不可欠であるが,多くの場面で変更を余儀なくされてもすぐに対応しようとする姿勢は私も見習いたい.

コロナ対応は次の段階へ

コロナ初期対応としてマスクの販売供給を行ってきた.予定では累計10万枚を東広島から民間向けに放出することになる.白地の一般的なマスクもある程度流通し始めてきた中で,今後やらなくはならないのは目下経済対策である.経済の動きの低下により,すでに周りの大学生にもアルバイト雇用の縮小で家計が苦しいという声を聞く.残念ながら私は資本家ではないので,お金を引っ張ってくるのはそこまでうまくないが,みんなが持っている少しずつのお金で経済を回すことは可能であると考えている.

さらにこの期間でも少しずつ学生でも動きを見せているものがいる.彼らと一緒になってこの難局を打破できるように,まずはテイクアウトから飲食関連の事業を進めていく.

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